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【人生は一度きり】後悔を手放す道とは

ある日のこと、私はお寺の庭を掃き清めながら、ふと、人生の後悔について思いを巡らせていました。なぜ人は過去の失敗や選択を悔やみ続けるのでしょうか。今日は、そんな後悔に囚われず、自らの人生を力強く歩むためのヒントを、皆さんと分かち合いたいと思います。
私たちは皆、人生の中で様々な選択を迫られます。時にそれが大きな後悔に繋がることのように感じられるかもしれません。例えば、大きな失敗をしてしまい、心にぽっかりと穴が空いたような虚無感を抱える方もいらっしゃるでしょう。自分の下した決断が、まるで人生の大バーゲンセールのように、価値を失ってしまったと感じる時、その重みに心が折れてしまうのは当然の感情です。しかし、仏教の教えに目を向ければ、私たちはこの「後悔」という感情と、どのように向き合えばよいのかが見えてきます。
過去の出来事は、決して変えることはできません。それは、時間の流れという大いなる法則が示す真理です。しかし、過去の出来事に対する私たちの心持ち、感情は、変えることができるのです。過去の失敗を悔やむのではなく、そこから何を学び、今、そしてこれからの人生にどう活かすか。この視点こそが、後悔に囚われず、むしろそれを人生の「糧」としていく智慧となるのです。私たちの先祖もまた、それぞれの時代で多くの苦難や選択を経験し、それらを乗り越えて今の私たちへと命を繋いでくれました。先祖供養の精神は、過去を尊び、今を生きる私たちの力となることを教えてくれます。

死から逆算する「今」の決断

人生の終わりを意識することは、一見すると暗いことのように思えるかもしれません。しかし、実はこの「死」というものを見据えることが、私たちが「今」を全力で生きるための、最も力強い原動力となり得るのです。
私たちが生まれた瞬間から、いつか死を迎えるという前提のもとに生きています。それは、どれだけ望んでも避けられない、命の摂理です。この事実を「受け入れる」ことで、私たちの心は不思議なほど穏やかになります。周りの人たちが死を恐れていたり、将来の不安に囚われていたりする姿を見て、苦しいと感じることもあるかもしれません。しかし、それは私たちが生きているからこそ抱く感情であり、生に真剣に向き合っている証でもあるのです。私はこれまで多くの人々の最期に立ち会ってきましたが、その経験から、「いつか自分が死ぬ」ということを常に意識するようになりました。すると、人生の岐路に立った時、どちらの道を選べば後悔しないか、何が本当に大切なのかが、自ずと見えてくるのです。

例えば、人生の選択に迷った時、10年後、20年後、30年後どうなっているかを想像しても、なかなか答えは出ません。しかし、「明日死ぬとしたら、今何をしたいか」と自分に問いかけた時、本当にやりたいこと、今やるべきことの優先順位が明確になることがあります。これは極端な問いかけに聞こえるかもしれませんが、人生の時間は有限であることを教えてくれます。限りある時間の中で、私たちはどのような選択をし、どのような人生を歩むべきなのか。この視点を持つことで、後悔の念に囚われることなく、今この瞬間を大切に生きる力が湧いてくるでしょう。私たちの先祖もまた、限られた時間の中で精一杯生き抜き、その命のバトンを繋いでくれました。彼らの生き様を思い、先祖供養を通じて感謝を捧げることは、今を生きる私たちの覚悟を深めてくれます。

執着を手放し、新たな一歩を踏み出す

後悔の念に囚われる大きな理由の一つに、「執着」があります。それは、過去の自分、過去の選択、過去の成功や失敗に、心がべったりとくっついて離れない状態です。この執着を手放すことができれば、私たちは過去の重荷から解放され、新たな一歩を力強く踏み出すことができるでしょう。
執着を手放すことは、最初はとても怖いことのように思えるかもしれません。ずっと続けてきた習慣や、得てきた自己評価を手放すことは、まるで自分が世の中から置いていかれるような、ダメになってしまうような錯覚に陥るからです。しかし、仏教では、この執着を手放すことで「成長」が起きると説いています。それは、何かを失うのではなく、より大きな自分へと進化していくプロセスなのです。例えば、仕事で大きな失敗をしてしまった時、その事実から逃げずに、自分自身を深く見つめ直す勇気を持つことができれば、なぜその失敗が起きたのか、どうすれば次に活かせるのかが見えてきます。それは、単なる後悔から、未来への糧へと変わる瞬間です。
後悔しない人生を送るために最も大切なことは、過去を嘆くのではなく、「今」に集中し、より良い未来を見据えて行動することです。自分の可能性を信じ、恐れることなく新しい自分を始めてみてください。それは、まるで新しい命が誕生するような、尊い一歩です。私たちを支える先祖供養の心もまた、過去の家族の繋がりを大切にしつつも、未来へと続く命の輝きを尊ぶことに繋がります。今、この瞬間から、あなたの人生を彩る新たな選択を積み重ねていきましょう。

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