仕事の不公平感:相手の立場に立つ智慧
職場で「なぜ自分だけ」と不公平さを感じ、心が折れそうになることはありませんか。努力が報われないと感じる時、私たちは視野が狭くなりがちです。このブログでは、相手の立場に立ち、永代供養の心で仕事に取り組む仏教の智慧をお話しします。
仕事の「不公平感」が生まれる背景
仕事をする中で、「なぜ自分だけがこんなに苦労するのか」「自分はこんなに努力しているのに、なぜ報われないのか」と、不公平感を感じることは誰にでもあります。特に、昇格試験に落ちてしまったり、同僚が一発で合格したのを見てしまったりすると、会社や上司への不信感が募り、心が折れてしまうこともあるでしょう。
私たちは、自分が努力しているという事実を客観的に認識しています。しかし、その努力が必ずしも「評価」に繋がるとは限りません。なぜなら、評価は自分自身が下すものではなく、他者が、様々な基準に基づいて下すものだからです。時には、自分の努力の方向性が、会社が求めるものとズレてしまっていることに、自分自身が気づいていない場合もあります。
また、新しい職場や役割に就いた時に、以前の経験から「こうすればうまくいくはず」という思い込みが強く、それがかえって空回りしてしまうこともあります。自分なりに良かれと思って積極的に行動しても、それが周囲からは「指示通りに動かない」と受け取られてしまい、不公平感を抱く原因となることも少なくありません。こうした状況は、私たちが自身の内側ばかりに目を向け、他者の視点や組織全体の流れを理解できていないことから生じることが多いのです。
相手の「意図」を理解する重要性
仏教には「同体(どうたい)」あるいは「同時(どうじ)」という教えがあります。これは、相手の立場に立って物事を考え、行動するという智慧です。仕事における不公平感を解消するためには、この「相手の立場に立つ」という視点が非常に重要になります。
私たちは日々の業務で「何をやるか」「どうやるか」に意識が向きがちですが、本当に大切なのは「なぜやるのか」という「意図」を理解することです。上司がなぜその指示を出したのか、会社がなぜその方針を掲げているのか。その「なぜ」を深く考えることで、私たちは単なる作業者から一歩進んだ、主体的な貢献者となることができます。
例えば、もしあなたが職場で上司との関係に悩んでいるとしましょう。怒鳴られたり、不満をぶつけられたりする時、私たちはすぐに感情的になりがちです。しかし、そこで一呼吸置いて、「なぜこの人はこのように振る舞うのだろうか」と、相手の意図や背景に思いを巡らせてみてください。時には、相手の言葉の裏に隠された真意や、個人的な苦悩、あるいは発達の偏りといった事情が見えてくることもあります。そうすることで、相手の行動を個人的な攻撃としてではなく、客観的な事実として受け止め、より冷静に対処できるようになるでしょう。
永代供養が示す「無私」の貢献
この「相手の立場に立つ」という智慧は、ご先祖様への「永代供養」の精神にも通じるものです。永代供養は、ご先祖様の御霊が未来永劫にわたって安らかであるように、寺院が永く供養を続けるという、非常に尊い行為です。これは、ご先祖様が私たちに与えてくださった命や恩恵に対し、見返りを求めず、ただひたすらに感謝の気持ちを捧げる「無私」の貢献と言えるでしょう。
永代供養のように、仕事においても「無私」の心で貢献する姿勢を持つことで、不公平感は和らいでいきます。自分の評価や見返りばかりを気にすると、私たちは些細なことにも不満を感じやすくなります。しかし、自分が所属する組織やチームの目標達成のために、ひいてはお客様や社会のために、全力を尽くすという視点に立つと、個人の不満は小さなものに感じられるでしょう。
ご先祖様が私たちに示してくれたように、目に見えないところで、しかし確かに未来へと繋がる貢献を意識する。そうすることで、あなたの仕事は単なる業務ではなく、より大きな意味を持つものへと変わります。そして、不思議なことに、そのような純粋な貢献の姿勢は、やがて周囲からの信頼や評価という形で、あなた自身へと返ってくることでしょう。