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安心を未来へ託す ― お墓の生前申し込みと寿陵の心

日々の暮らしの中で、ふとお墓や供養について思いを巡らされることはありませんか。
法要やお盆、お彼岸の折、あるいは大切な方をお見送りになったとき、
「自分の最期はどのように整えておくべきだろうか」「子どもや家族に負担をかけずに済むだろうか」と、そんなふうにお感じになる方もおられることでしょう。

今日は、そうした想いにお応えする「お墓の生前申し込み」について、
また日本古来の文化である「寿陵(じゅりょう)」の意味について、住職としての経験も交えながらお話をさせていただければと思います。

お墓の生前申し込みとは

お墓の生前申し込みとは、その名の通り、自分が元気なうちにお墓の場所や形、供養のかたちを決めておくことです。
亡くなってからご家族が慌ててお墓を探し、供養の方法を整えるのではなく、あらかじめご自身の希望に沿った形で準備をしておく。
それが生前申し込みの大きな特徴です。
お墓の形や石の種類、建立する場所、刻む文字、どれもご自身でゆっくりとお考えになりながら決めることができます。
また、供養の方針(永代供養や樹木葬など)も、このときにあわせてご相談いただけます。

なぜ生前申し込みをする方が増えているのか

最近では、生前申し込みをご希望される方が本当に多くなってまいりました。
その背景には、社会や暮らしの変化があります。

1. 子どもや家族への負担を減らしたい

「子どもにお墓のことで迷わせたくない」「できるだけ負担をかけたくない」
このお気持ちから、生前にご自身でしっかりと準備を整えたいと考えられる方が増えています。
お墓選びは、遺されたご家族にとっては心の重荷となることもあります。
ご自身で選び、決めておくことで、その心配を減らすことができます。

2. 自分の望む形を選びたい

お墓の形、供養の方法は時代とともに多様化しています。
伝統的な和型墓石だけでなく、洋型墓石や樹木葬、納骨堂、永代供養墓など、さまざまな選択肢があります。
生前に申し込むことで、自分自身の価値観や信仰、家族のあり方に合った形をじっくりと選ぶことができます。

3. 経済的な安心

生前申し込みは、費用の面でも安心です。
価格をしっかり確認し、納得した上で契約できるため、後々のトラブルが少なく、また資金計画を立てやすくなります。

寿陵とは ― 古来の生前建墓の文化

生前にお墓を建てることを、古くから「寿陵(じゅりょう)」と呼びます。寿陵の「寿」は長寿を、「陵」は墓を意味します。
すなわち寿陵とは、長寿を願い、平穏無事のうちに自らのお墓を建てることを表しています。この文化は中国に起源があり、皇帝や高貴な人々が「生前にお墓を建てておくことは吉兆である」として行ったものが日本にも伝わりました。
日本でも、奈良・平安時代の貴族や武士たちが生前に墓所を定め、死後の供養に備えていたといいます。

寿陵は、「死を予期する」ものではなく、むしろ自らの最期に向き合うことで、今を誠実に生きる決意の表れであり、「長寿と無事を願う前向きな営み」として尊ばれてきたのです。今でも生前に墓を建てると「寿陵の石塔は苔むさず」と言われ、長く健やかに生きられる吉事とされています。

なごみの杜霊苑では、生前のお墓の申し込みが可能です。
これまでにも多くの方が生前にお墓の場所を定め、安心を手にされてこられました。
「子どもや家族に負担をかけたくない」「自分の希望に沿った供養の形を選びたい」「元気なうちに準備を整え、これからの時間を穏やかに過ごしたい」。
そうしたお気持ちに寄り添い、私たちは一人ひとりのお声を丁寧に伺いながら、お墓の場所や形、供養の内容を一緒に考えさせていただいております。

生前申し込みをされる方の中には、見学の折「静かで落ち着く場所ですね」「この雰囲気がとても気に入りました」とおっしゃる方が少なくありません。
なごみの杜霊苑は宗旨宗派を問わず、どなたでもお申し込みいただける霊苑です。
静かな環境の中で、安心して未来の備えを整えていただけます。
お墓は建てて終わりではなく、これからの祈りの場であり、ご家族の心のよりどころとなる大切な場所です。
なごみの杜霊苑では、日々の清掃や管理にも心を尽くし、お参りにお越しになる皆さまがいつでも気持ちよく手を合わせていただけるよう努めております。
生前申し込みについて詳しく知りたい方、現地を一度ご覧になりたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。
見学やご相談の際には、住職や専門スタッフが直接お話をお伺いし、心を込めてご案内いたします。

これまで私どもが承ってきた生前申し込みの中で、心に残るお話を少しだけご紹介させていただきます。
「主人が亡くなった時、私はお墓を決めるだけでも本当に迷いました。だから、私自身の時には子どもに同じ思いをさせたくないと思ったんです」。
「ずっと家族のために生きてきましたが、最後くらいは自分の好きな場所を選びたいと思いました」。
「生前にお墓を決めてから、なんだか気持ちが軽くなりました。残りの人生を穏やかな気持ちで過ごせそうです」。
こうしたお言葉に触れるたび、私もまた、生前申し込みはご自身のためだけでなく、残された方々の心を和らげる大切な準備であることを、あらためて感じております。

生前にお墓を申し込むということは、死を待つための準備ではなく、今を大切に生き、未来の安心を整えるための贈り物であると私は思っています。
お墓は、亡き人のためのもののようでいて、実は生きている私たちの心を整え、家族の絆を深める場所でもあります。
生前申し込みを通じて、これからの人生をさらに前向きに、そして大切な方々への想いを形にしていただければ幸いです。
私たちはどのようなご相談にも、一つひとつ心を込めて寄り添わせていただきます。
どうぞお気軽にお声をおかけくださいませ。

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