苦しみの先、心の開花
日々の生活の中で、私たちは知らず知らずのうちに自分を追い込んでいることがあります。それは、まるで閉じた窓にぶつかり続けるスズメのように、苦しさを感じさせます。この「なぜ」という問いは、私たちの内側に深く根ざすもの。その根源を見つめ、苦しみを手放す道を探してみませんか。
「本気」が引き出す心のブレーキ
私たちは、何か目標を掲げ、「本気」で取り組もうとすると、同時に自分に「ブレーキ」をかけてしまうことがあります。これは、決して怠け心だけではなく、私たちが自分自身を守るための、ごく自然な心の仕組みだと、私は考えています。例えば、画家を目指す人が「歴史に残る絵を描きたい」「人に評価されたい」という「計らい」の心で絵を描き始めると、純粋な創作の喜びから離れ、苦しくなってしまうことがあります。真の芸術は、内側から突き動かされるような衝動から生まれるものです。
かつて、私も画家を志す相談者の方に、一度絵から離れ、大自然に身を委ねてみることを勧めました。光の移ろいや季節の感覚、そういった自然との触れ合いの中で、心動かされる体験をすることで、「描かざるを得ない」という内なるエネルギーが生まれると信じているからです。
また、自分を追い込む背景には、他者からの評価や期待に応えたいという気持ちがあるかもしれません。スポーツ選手が「史上最高の選手になりたい」と高い志を持つのは素晴らしいことですが、そのプレッシャーが空回りし始めると、かえって苦しくなってしまいます。目標に向かって心を練り、時には休む選択も大切です。
過去を手放し、新たな自分へ
自分を追い込んでしまう背景には、過去の経験や、そこから生まれた「執着」が深く関係していることがあります。過去の頑張りにしがみつき、「これだけやってきたのに」という思いから抜け出せない。それはまるで、部屋の窓ガラスに何度もぶつかるスズメが、開いている別の窓があることに気づかないようなものです。本当に変わりたいと願うなら、過去の自分や、これまでの「頑張ってきたこと」を一度、全て「捨てる」覚悟が必要です。
これは「出家」という仏教の教えにも通じます。出家とは、頭を剃って僧侶になることだけを指すのではありません。知らず知らずのうちに身についた習慣や、過去の経験、知識、自分を縛るもの全てを、かなぐり捨てて出ていくことです。それは、経済状況や時期を待つことではなく、「今、この瞬間に変わりたい」と強く願う「本気の覚悟」がなければ、成し遂げられません。
人生は一度きりです。過去にどのような失敗や苦しみを経験したとしても、大切なのは「今をどう生きるか」です。自分の弱点だと感じている部分を直視し、それを克服するために行動を起こすこと。困難な状況でも、目の前の「できること」に全力で取り組むこと。そうすることで、私たちは自らの殻を破り、新しい自分として生まれ変わることができます。過去の自分に別れを告げ、苦しみをも乗り越え、より強く、そして輝かしい未来へと向かう道を、あなたはきっと歩んでいけるはずです。