人生を変える「節目」の捉え方

私たちの人生は、まるで川の流れのように、常に変化し続けています。時には穏やかに、時には激しく、様々な出来事が私たちを取り巻きます。その流れの中には、まるで明確なサインのように、いくつかの「節目」が現れることがあります。皆さんは、そうした節目をどのように捉えているでしょうか?ただ過ぎ去るものとして受け流しているでしょうか、それとも、何か新しいことの始まりとして、意識的に向き合っているでしょうか。
日本には古くから、季節の変わり目を祝う「節句」や、特別な意味を持つ「吉日」など、様々な「節目」を大切にする文化があります。これらは、単なる暦の上の日付ではなく、私たちが日々の生活の中で自分自身と向き合い、心身を整えるための大切な機会として受け継がれてきました。
しかし、現代社会では、日々の忙しさに追われ、そうした節目を意識する機会が減ってきているように感じます。それは、まるで人生の羅針盤を見失い、ただ流されるままに生きているような状態かもしれません。私は、これらの節目を意識し、活用することが、私たちの人生をより豊かにし、運気を高めるための鍵となると信じています。このブログでは、人生の節目をどのように捉え、どう行動すれば良いのかを、「先祖供養」の視点も交えながらお話ししていきましょう。
時の「節目」が教える変化の波
私たちの住むこの世界は、常に目に見えないエネルギーの流れに満ちています。太陽や月の動き、星の配置、そして季節の移ろい。これら全てが、私たちの心身や運気に影響を与えているのです。日本の「節句」は、まさにこのエネルギーの変化を感じ取り、それに応じて生活を整えるための智慧が詰まっています。例えば、5月の節句や9月の重陽の節句は、自然の恵みに感謝し、心をリセットする大切な時期とされています。
お寺では、こうした節目に合わせて様々な行事を行います。ある日、ある方が「お盆やお彼岸には必ずお墓参りをするのですが、それ以外の節目はあまり意識したことがありませんでした」と話されました。私は「そうした節目は、ご先祖様から受け継いだ命を大切にし、自分自身の心を見つめ直す良い機会ですよ」とお伝えしました。例えば、土用という時期は、季節の変わり目で体調を崩しやすいとされますが、同時にそれは、心身に溜まった悪いものを「出す」ためのリセット期間でもあります。
私たちは、この「節目」を意識することで、日々の流れの中にメリハリをつけることができます。そして、自分自身の心や体の状態に目を向け、足りないものは何か、何を改善すべきかを考える良い機会となるでしょう。忙しい現代社会だからこそ、立ち止まり、こうした自然のサイクルに身を委ねることが、心の平穏と、新たなエネルギーを生み出す大切なきっかけとなるのです。
「脱皮」を促す心の柔軟性
2025年は、古くからの暦で「乙の巳年」にあたります。これは、ヘビが脱皮するように、私たち自身も「観念の殻」を破り、大きく成長・変化していくべき年であるとされています。ヘビは柔軟な体で前へ進み、時には攻撃的な強さも持ち合わせる生き物です。これは、私たちもまた、心の柔軟性を持ちながら、目標に向かって積極的に行動していくことの大切さを教えてくれています。
ある若い方が、私に「自分の考えが正しいと思い込んでしまい、なかなか他人の意見を聞き入れられないことがあります」と相談に来られました。私は「それは、自分の殻に閉じこもっている状態かもしれませんね。ヘビが脱皮するように、時には頑固な自分を捨て、新しい自分になる勇気も必要です」と助言しました。素直に他者の意見やアドバイスを受け入れることは、私たち自身の知識や知恵を深め、さらなる成長へと導きます。
私たちの心の中に「どうせ無理だ」「できない」といったネガティブな観念があると、せっかく目の前にチャンスが訪れても、それを見逃してしまいます。しかし、自分の枠を超え、「やってみよう」「挑戦してみよう」という前向きな意識を持つことで、私たちは本来持っている能力を開花させ、運気を自ら運んでくることができるのです。心の柔軟性を持ち、新しい自分へと「脱皮」する勇気を持つこと。それが、来るべき「節目」を最高のチャンスに変える鍵となるでしょう。
ご先祖様から受け継ぐ「挑戦」の心
人生の「節目」は、私たち一人ひとりの成長の機会であると同時に、ご先祖様への「先祖供養」の機会でもあります。ご先祖様もまた、それぞれの時代で様々な困難や変化に直面し、それを乗り越えて、私たちに命を繋いでくれました。私たちが、今、目の前の「節目」を乗り越え、新しい自分へと挑戦する姿は、何よりのご先祖供養となるでしょう。
ご先祖様への供養は、ただ形だけの行事ではありません。それは、私たちがご先祖様の生きてきた道のりを想い、感謝し、そしてその遺志を受け継いで、より良く生きようと努力する「心」そのものです。ある檀家さんが、長く滞っていた事業が、思い切って新しい分野に挑戦したところ、見事に軌道に乗ったと報告してくれました。彼は「これも、ご先祖様が背中を押してくれたおかげです」と、深く感謝していました。
私たち人間は、完璧ではありません。時には失敗し、後悔することもあるでしょう。しかし、その全てを学びとして受け入れ、次の一歩を踏み出す勇気を持つこと。それが、ご先祖様から受け継いだ「生きる力」を最大限に活かすことへと繋がります。人生の節目に際して、ご先祖様に感謝の意を捧げ、心の中で対話をしてみてください。彼らが見守る中で、私たちはきっと、どんな挑戦も乗り越えられるはずです。そして、その挑戦の先に待つ、より豊かな人生を、ご先祖様と共に歩んでいくことができるでしょう。