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後悔を断ち切り、今を選ぶ人生

大切な選択を前にして、後悔したくないと願う気持ちは、誰もが抱くものです。人生は選択の連続であり、時には困難な決断を迫られます。今日は、後悔のない人生を歩むために、私たちが「今、ここ」で何をすべきか、仏教の教えからそのヒントを探ります。

人生は移ろいゆく波

私たちは、過去の失敗や未来への不安に囚われ、なかなか「今」に集中できないことがあります。「もし、あの時こうしていれば…」という後悔や、「これからどうなるのだろう」という漠然とした不安は、私たちの心を重くします。しかし、仏教の根本には「諸行無常」、つまり「全てのものは常に移ろいゆく」という真理があります。人生は、好調な時もあれば、困難な時もある、予測不能な波のようなものです。株のチャートのように、上がれば下がり、下がればまた上がる。このアップダウンの波をどう生きるかが、私たちの人生を形作ります。成功ばかりが人生ではなく、困難な時こそ、その人の真価が問われるのです。

「死」から逆算する智慧

では、後悔のない選択をするにはどうすれば良いのでしょうか。一つの智慧は、「自分がいつか死を迎える」という事実から逆算して、今をどう生きるかを考えることです。私はお寺で育ち、これまで何千人もの命の終焉に立ち会ってきました。その経験から、人生の選択で迷った時、自分が死ぬことを想像することで、どちらに進むべきか、何を優先すべきかが明確に見えてくるようになりました。10年後、20年後の未来を想像するだけでは迷うこともありますが、死から逆算すると、「今やっておかなければならないこと」がはっきりと見えてくるのです。
ご先祖様への供養もまた、私たちが限りある命をどう生きるか、その問いへの答えの一つとなります。ご先祖様が私たちに命を繋いでくださったからこそ、私たちは今を生きています。彼らの生きた証に感謝し、その教えを胸に、今を精一杯生きることが、何よりの供養となるでしょう。先祖供養の精神は、私たちが未来への希望を抱き、後悔のない人生を歩むための力となるのです。

目の前の役割に全力を尽くす

後悔しない人生とは、完璧な選択をし続けることではありません。むしろ、「今、ここ」で自分に与えられた役割に全力を尽くすことです。たとえそれが、思い描いた理想とは違う状況であっても、目の前の仕事や人間関係に真摯に向き合うこと。会社にとって「絶対に必要な人」になるという心構えで、目の前の業務に取り組むことです。この積み重ねが、やがて新たな道を拓き、確かな喜びをもたらします。
過去は変えられず、未来はまだ来ていません。大切なのは、「今、あなたは何をするのか」というブッダのメッセージに耳を傾け、自らの役割を全うすることです。たとえ辛くても、その苦しみを乗り越えることで、人は強く優しくなれます。この覚悟と行動が、あなたの人生を光で満たし、後悔のない豊かなものへと導いてくれるでしょう。

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