護摩行(ごまぎょう)ってどんなもの?
現代のソロキャンプ!?護摩行って?
まず、護摩(ごま)とはサンスクリット語で「供物を捧げること」「犠牲」「いけにえ」を意味 するhoma(ホーマ)を日本語に訳したもので、火を用いる儀式のことです。
護摩は、紀元前 2000年頃インドで始まり平安時代の頃に日本伝わったとされています。現世での祈願成就を目指 して祈りを捧げるという密教の修法。全ての煩悩を焼き尽くすという意味があります。
護摩行は、護摩壇と呼ばれるに火を点じ、火中に供物を投じ、ついで護摩木を投じて祈願する外 護摩の祈祷方法と、自分自身を壇にみたて、仏の智慧の火で自分の心の中にある煩悩や業に火を つけ焼き払う内護摩とがあります。密教の中でも最も大切な修行方法です。 数年前にテレビなどで野球選手が、精神修行として護摩行を体験するシーンなどが放映されたこ とで話題になりましたね。
護摩行は、それぞれ目的によって以下のように分類されます。 災害や事故の災いなどがないように祈る「息災法」(そくさいほう) 自分の学問の成功や健康を祈る「増益法」(そうやくほう) 恋愛や友人との親睦を祈る「敬愛法」(けいあいほう) 怨敵を倒すために祈る「調伏法」(ちょうぶく方) 諸尊・善神・自分の愛する者を召し集めるための修法「鉤召法」(こうちょうほう) 護摩壇って? 不動明王(ふどうみょうおう)を迎える聖地とされる、炉を据える壇です。
その護摩壇で薪が焚かれ、炎が燃え上がります。この燃え盛る炎が、不動明王の智慧(ちえ)そ のものであり、私たちが抱える苦悩や煩悩を清らかに転化したり、願いを成就させる力を与えま す。炎の中に不動明王が降臨されるので、感謝の気持ちや願いを込めて供物やお経を唱えて祈りを 捧げます。護摩祈祷の中でくべられる供物というのは、煩悩を可視化したようなものであり、それを不動明王の炎で焼くことで身を清め、悟りを開こうとするのです。
※智慧・・・仏教用語で体験・経験によって得る「気付き」、物事の道理を見極める心の はたらきのこと。
不動明王って?
護摩行で拝むのは「不動明王」という密教の尊格の一尊であり、大日如来の化身とも言われるい ます。威力があり功徳も大きい明王。親しみを込めて「お不動さん」などとも呼ばれています。
と ても怖い顔をしていますが、実は優しい明王様で、どうにもならないような人に対しても、極楽 へ運んであげようとしてくれるのです。
※尊格・・・仏様のそれぞれの性質、法力のこと。また、階層のようなもの。
護摩行は決して暗いものではなく、実際に初めて御祈祷を体験された方は、とても心がスッキリ とされたとおっしゃる方が多いです。そしてどこか神秘的で、厳かな儀式は、現代においてソロ キャンプに近いものがあるのではないかと思います。焚き上げられた炎を見ているだけで、心が鎮 まり余計なことを考えずに済む、まさに癒しの効果もあるのではないかと感じます。